PaX35 (PaXⅠ PaX1型 Pax M1)
レンジファインダー・カメラ
レンズ・シャッターはYKK-D
速度 B、10、25、50、100、200
レンズ Luminor Anastigmat 1:3.5、f=45mm
絞り 3.5 4 5.6 8.11 16
距離はfeet表示
ASA表示はナシ
発売は1952年。東京都大田区馬込東4丁目55(ただしアサヒカメラ1955年1月の宣伝には馬込東4793となっています)にあった大和光機工業が製造しました。国内販売もされていましたが、輸出の方が圧倒的に多数です。
「PaX Golden View」(日本名はパックス・ゴールド)というのも売られました。金メッキに緑色の張り革。金メッキフード付き。
ネットのどこかで「萩本欽一の父親がカメラ商をしていて、パックス・ゴールドを輸出した」という記事を読んだことがあります。この事実は未確認ですが、事実としたら「茨城Golden Golds」という野球チームを作った欽ちゃんとこの金色のカメラを作った父親、「金」好きはなるほど遺伝ですね。でも、欽チャンの字、「金欠」と書きますが…。
サイズ比較
サイズは110×67×65mmです。
写真左のバルナックライカⅡ(1938年)とそっくりな外観を持っていますから、世界最小のライカと言われました。ライカをギュッと凝縮したようなカメラです。小さくてもちゃんとレンジファインダー・カメラ(距離計付きカメラ)です。シャッターは、フォーカルプレーン・シャッターのライカと違ってレンズシャッターで、一眼レフを使っている人には信じられないくらいに可愛いシャッタ-音がします。たとえば、荷物運搬などによく使われるプチプチの小さいのをプチッと潰したような音を想像してみてください。
シャッターは、セルフコッキング機能がないので、シャッターを押す前にセットしなければなりません。写真の中央に光って写っているのがそのセットレバーです。
軍艦部です。シャッターボタンと巻き戻しのレリーズ・ボタンが、バルナッカライカと逆の位置になっています。上の大きい方がシャッターです。
裏蓋はこのようにパカッと外れますから、フィルムの出し入れはライカよりずっと楽です。ニコンでは「NIKON S」から「F」までこのスタイルを踏襲しましたが、評判はあまり芳しくなかったようで、「F2」からは蝶番式になりました。また、もっと後の「Rollei35」はPaXと同じパカッ方法を採用しています(Rollei35はPaXを意識しているのか、共通点がいろいろあります。そのうちに比較ページを載せたいと思っています)。
以下おまけです
私のPaX35です。張り皮の「PaX」の文字のaの上のところが擦れているのが分かると思います。それだけよく使われたことを示しています。
ちょうどこの位置に親指が来るためです。
ここもメッキが擦れて真鍮がでています。
シャッターに人差し指を置くと、中指が当たるからです。
裏蓋の開閉ネジ。ここも真鍮の地肌がでています。これだけ使いこなされているにも拘わらず、不具合はありません。
こうなると、この機種はよく「ヘリコイド固着が多いのは安価な油が使われたのが原因だ」と書かれていますが、ただ適度に使われていなかっただけのような気がします。